「“こころ温まるまちのお薬やさん”を目指して」
まま薬局店長 薬剤師 徳永里美さん

mama2のコピー

藤沢市の住宅街に昨年オープンした「まま薬局」。徳永さんは調剤に、漢方教室の先生に、作品の販売にと大忙し。お店は決して広いわけではありませんが、近隣の作家さんのクラフト作品や漢方茶、関連情報などがきちんと並べられており、とても居心地がよさそう。看板にあるママの顔のイラストはお子さんが描いたもの。処方せんを持たずともつい入りたくなります。

ユニークな取り組みのきっかけは?

昨年11月にオープンしました。コンセプトは、「親しみのある、温かい雰囲気のまちのお薬やさん」。開局するに当たり、どういうお店にしようかといろいろ考えましたが、やはり「こころ温まるまちのお薬やさん」にしていきたいなと思いました。

これまで薬剤師として働いてきましたが、時間効率やスピードを優先しなくてはならず、気づいたら、対患者さんというよりも対薬、つまりモノ相手になっていました。そんなこともあって、もっと地域に暮らす方々に近い存在になりたかった。薬局は、心に残りにくい存在だと思うのですが、それをちゃんと残る存在にしたかったのです。

「まま薬局」の名にこめた思い

私自身、5才と2才の子供がいますが、そうした子育ての経験とか、ママとして興味のあることやうれしいなと思うことを大事にしたいと思いました。かわいいクラフトを販売用に置いたり、ワークショップもママが主役になれる場所を、という考えで始めました。まずは自分と同じママに好かれる薬局になりたいと。“現役ママがつくったママさんを応援する薬局を”という思いを込めました。

事業の柱は3本あって、まずは調剤、漢方薬・漢方茶教室、そしてママさんがママさんに教えるというスタイルの健康ワークショップです。治療と予防だけでなく、バランスよくトータルでママさんを元気にしよう。ママさんが元気になれば、家族が元気になり、地域も元気になると考えました。

地道なワークショップで徐々に浸透

最初は、漢方茶カフェのような形態をイメージしていましたが、薬局として続けるには収入面も重要で、そのためには一定数の処方せん応需が必要条件となります。子供や若いママさんが多い、この場所ならばできるかなと思いました。でも当然ながら、処方せんは思ったほどの数にならず、不安になって事務スタッフと一緒にビラ配りをし、地道にワークショップを続けるうちに徐々に来店客が増え、処方せんも増えてきました。

あたりで知られるようになったのは、健康ワークショップの開催や、地域で活動するクラフト作家さんたちに参画いただくコーナーを店内に設けたことが大きいと思います。そのおかげでたくさんの方々と接点が生まれ、喜んでもいただける。単に調剤だけの展開だとしたら、精神的に結構つらかったのでは、と思います。地域の人たちが一緒に盛り上げてくれるのがとても助けになり、遠くにお住まいの方も来店してくださるようになりました。やはり薬局が本業なので、処方せんの枚数は重要で、増えることで精神的にも支えられています。漢方茶教室の開催が人を集め、処方せんも持ち込んでくださるようになったわけです。

作家さんとの出会いが楽しい

季節による変動は大きいですが、子供やその家族とつながれるのは楽しいです。ママさんのための共助ネットワーク「アズママ」さんのつてもあり、作家さんたちとの出会いは、そうした知り合いに紹介してもらったもので現在、9人ほどの作家さんと取り組んでいます。人気作品は順番待ちもでるほどで、お客さんからもリクエストがあり、それを作家さんにお伝えすると、届けてくれたりとかも珍しくないです。

同じママ目線なので、ほしいものがよくわかるし、きめの細かい配慮もできます。今ならサングラス入れやバンダナ、感染症の時期ならマスクとか、時期に合わせて飾ります。作家さん側もお金儲けということではなくむしろ、発表したい、喜んでもらいたい、という感じです。リクエストがあればすぐ作り変えてくれたりと、皆さん一生懸命なんです。その姿をみて、私もがんばらなくては、と励まされます。皆さん本当に多才で、クラフト作品も旦那さんの帰りを待ちながら夜に作っているとか。とにかくすごいです。

最近では、アイシングクッキーはキャンセル待ちの人気。それにマッサージの会や、ママと子供の写真撮影会もそう。プロの写真家にとってもらうので、本格的にヘアメイクしたりと、子供と一緒にできるものが受けるようです。この湘南エリアは、プチ起業ママさんが多く、皆さんアクティブです。ビジネスというよりも楽しんでいるという印象ですね。

漢方薬局カフェを目指して

漢方のよさをお茶を通して伝えていきたいです。奈良市に「花凛堂」という漢方薬局カフェがあるのですが、そこで漢方茶のブレンダ―資格を取りました。漢方茶は楽しいし、お茶は食品だから気軽に取り組め、薬には抵抗のあるママさんもこれならば大丈夫という方が多いです。妊活中の方なども含め、ニーズが見えているのが楽しいです。

これからは薬剤師がもっと身近な存在になっていかなくてはなりません。またあの薬局に行きたいなと思える場所にしたい。そのためにも、いろんな人とのコラボをもっと進めていきたい。ちょっと変わった薬局ですが、パッと心が華やぐようなことをコラボでやりたいです。薬局の外に出て、カフェで漢方茶教室をやったり、和菓子とコラボワークショップをしたりとか、アイデアはたくさんあります。じっとしていられない性格なので、失敗を恐れず、まずは一歩踏み出したいと思います。