薬剤師が薬局の外に出るときが来た

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薬局内での調剤業務が中心となり、一般にはその働きが“見えづらい”といわれる薬剤師。しかし近年、薬局の中だけでなく、外へ出て活動する薬剤師も増えており、中には聴診器を持って患者宅を訪れる薬剤師もいるそうです。先ごろ千葉大学薬学部公開講座で講演した日本在宅薬学会理事長の狭間研至先生は、そうしたこれからの薬局・薬剤師に対する期待感を話しました。

 

「薬局3.0」とは何か

外科医である狭間先生は、地域医療の現場で医師として診療を行うとともに、大阪で「ハザマ薬局」を運営する薬局経営者としての一面も併せ持ちます。薬局を運営していくうえで、狭間先生が提唱・実践しているのが「薬局3.0」、つまり第3世代としての薬局のあり方です。歴史的な流れを踏まえ、狭間先生は薬局の機能を以下のように定義しています。

○「薬局1.0」……大衆薬や医療雑貨などを販売する町の小売業として薬局が存在。

○「薬局2.0」……医薬分業の進展によって調剤薬局が増加。薬剤師は薬局内で処方箋を受け取り、調剤した薬を患者に渡す処方箋調剤が業務の中心に。

○「薬局3.0」……従来の処方箋調剤だけでなく、薬剤師は患者の居宅や施設に訪問して服薬指導などを実施。薬剤師が薬局の外へ出て活躍する。

現在、病院から在宅・介護施設へと医療の場が変わる中で、この「薬局3.0」の取り組みこそ、薬局・薬剤師に求められている機能です。実際に、医師や看護師など他職種と連携しながら、在宅業務に取り組む町の薬局も増えつつあります。

 

薬剤師が血圧や呼吸などチェック

この「薬局3.0」を実践していく中で、狭間先生が特に必要性を強調するのが、薬剤師による「バイタルサイン」の測定です。「バイタルサイン」とは、血圧や脈拍、呼吸といった患者の基礎といえる情報のことを指します。「薬剤師がバイタルサインをとることで、調剤や薬の説明など“薬が体に入るまで”で終わらず、“体に入った後”の状態を把握することができ、薬の効果の確認や副作用の早期発見にもつながります」。

さらに、薬剤師が専門性を発揮し、薬学に基づいて患者さんの状態を確認することで、「医師に対して処方提案を行うこともできます」と狭間先生。それにより、薬の過剰投与や漫然投与を防ぐことができ、患者さんの服用負担の軽減や医療費削減といったメリットも大きいと話します。

 

聴診器を持って薬局の外へ

このような考えから、狭間先生が理事長を務める日本在宅薬学会では、薬剤師を対象としたバイタルサイン講習会を主催。実際に聴診器や血圧計などの機器も使いながら、その意義やノウハウを提供しています。

「本来、薬剤師が患者さんに渡すのは、薬ではなく、健康であるはず」と話す狭間先生。地域医療のさらなる発展を目指すうえで、鍵を握る存在となる薬局・薬剤師に対して、熱いメッセージを贈ります。